全国不動産バイブル

計画案と実施案

2011.12.16

住宅には棟梁の息子による鉛筆描きの計画案が残っている。計画案は祖父の意向をすでに反映してか、応接間はなく、畳廊下などのやや古めかしい様式をもつ中廊下型住宅となっている。この案と実施案との差異から、当時主婦であった祖母の住居観を読み取ることができるが、これは、型の崩壊のひとつめの契機でもある。変化した主要な点は、(1)〈勉強べや〉の付設、(2)階段の位置の変更、(3)内玄関と勝手口の分離、(4)広縁の付加、(5)仏壇の〈離れ〉から座敷への移動、などである。

[参考サイト]
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敷地に制約があるため、それに伴って縦廊下がなくなっている。全体的に見れば、この住宅の計画案からの主な変更点は、格式よりも家族生活や合理性を重視したものとして位置づけられる。〈座敷〉は堀コタツと仏壇のある居間的なく、広縁の脇の〈勉強べや〉にもこの居間を通っていくことになった。また、階段の位置の変更は直接来客を二階に通すためであり、これによって〈二階の座敷〉の格式(奥性)は低下した。内玄関と勝手口の分離も古い形式にみえて、家族の出入口を重視したものと見ることができる。しかし、中廊下型住宅が新たに実現し、計画案においても守られていた、〈へや〉の通り抜けのない動線処理の基本を破ってしまう結果になっている。古い形式への後退であることは確かであるが、一方、居間中心型住宅に近づいたという見方も可能であろう。





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