深夜電力を利用するイギリス製のクレタという暖房機が発する暖かさは、体の芯にまで達して蓄熱されるような感じがした。クレタは、空気を汚さず、温風も出さず、実にまろやかな暖かさを与えてくれる。その快適さは暖房ではなく温房の世界のものだということを実際に暮してみて実感した。私は風呂から出て、食卓に座って読書をするのが好きだ。パジャマ姿で、時には夜中の二時ごろまで読んでいることもある。以前の家だったら、綿入れを着込んで、厚い毛糸の靴下を履いて、ストーブを傍に置いて、いやいや、そんなことをしているのが億劫で、間違いなくさっさと寝床にもぐりこんでしまったはずだ。
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「いい家って、こんなにもいいものなのか」私は、よくそうひとり言をつぶやくのだ。住み心地には「良い」「まあまあ」「悪い」があるとMさんは言う。「悪い」は、欠陥だと。「良い」か「まあまあ」かは、依頼先によって決まってしまうとも。私は、これまで住んできた家の住み心地が悪いために、つらい思いをし、ある時には苦しめられ、我慢を強いられ続けてきた。だから良い住み心地の家に勇気を出して投資した。ある人が言っていた。「理に適った家への投資は、健康への投資と同じだ。惜しむべきではない」