公庫融資が受けられて、なおかつ優遇税制が受けられる分岐点は「専有面積五三平方メートル」(パンフレットに記載された壁心面積)になる。これより専有面積が狭いと登記簿上の内法面積は五〇平方メートルを割り込んでしまう。したがってパンフレットなどに「専有面積五〇平方メートル」などとあってもダメ。公庫の融資は受けられても優遇税制は受けられない。こうなると内法面積五〇平方メートル以上の物件を買っていれば受けられたはずの税の特典がみんなパーになってしまう。その額、住宅ローン控除で最高一六〇万円、住宅資金贈与の特例で二言一万円、登録免許税で四万二〇〇〇円(物件価格四〇〇〇万円クラスの新築マンションの場合)にもなる。合計約三八〇万円の大損である。大量供給のツケでブームが失速しつつあるマンション業界では、「質」より「安さ」の追求に拍車がかかりつつある。すでに昨年までのブームでマンション購入層の低年齢化か進み、業界では「二年先の購入層にまでマンションを買わせてしまった」といわれている。購入層が下がれば、それに合わせて物件価格も下げざるを得ない。それがまた中古市場を一段と冷え込ませる悪循環に陥っている。しかし売らないと資金が回らないから、とにかく売る。それには三十歳前後の世代にも買える安い物件を手がけるしかない。削りに削って、それでも公庫が利用できる「壁心でギリギリ五〇平方メートル超」という物件は、マンション業者のそんな思惑を見事に反映している。マンション業者は当然、壁心五〇平方メートルでは優遇税制が受けられないことを知っている。それでも売っているのだから、これはもう明らかに確信犯。「売れれば購入者が税金で損をしようが知ったことじゃない」という姿勢は、あまりにも消費者をバカにした話ではないか。ともあれ消費者としてはこの手の物件は絶対に買わないこと。内法面積は計測の仕方などによって多少違うから、公庫適応ギリギリの2LDKや3DKを買うときは、パンフレットの専有面積が五五平方メートル以上の物件を選ぶ方が無難。くれぐれも「専有面積五〇平方メートル」を鵜呑みにしないことである。
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