檜舞台という言葉がありますが、劇場の舞台の多くは木でできています。その上で演じたり、踊ったり、跳ねたりするには、硬すぎても柔らかすぎても具合がよくありません。コンクリートや石のように硬い素材では、衝撃が頭まで響きます。万が一ころんだりした場合にもたいへん危険です。かといって畳やじゅうたんのような柔らかい素材では体が不安定で疲れてしまうし、音も吸収されてしまいます。舞台の素材に木が選ばれる理由は、石やタイルのように硬くはなく、かといって畳やじゅうたんほど柔らかくもなく、木がちょうどよい硬さを持っているからです。
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千葉工業大学の教授は、木のよさを「中庸の優秀さ」と評しています。木の物理的な性質を調べてみると、飛び抜けてすぐれた個性はないかわりに、どの点から見ても平均点以上の優秀さをバランスよく備えているというのです。硬さ、断熱性、吸湿性、安全性、どれを取ってみてもほどほど。このほどほど加減が、生身の人間を包む器である住宅の素材にふさわしいというわけです。