全国不動産バイブル

一棟だけの建替えが直面した困難

2011.11.04

53号棟にとって、第一に問題であったのは、棟ごとの管理組合はもちろんのこと、団地全体の管理組合もなかったことである。神陵台東住宅は兵庫県住宅供給公社が割賦方式で譲渡したもので、購入者は償還を完全に終わらせないと登記上の区分所有権をもてなかった。被災した時点で、四八〇戸の七割弱の区分所有権は県公社が所有し、残りの三割強が繰り上げ償還をした居住者が区分所有権をもつという変則的な状態であった。したがって、自治会はあっても管理組合はなかったのである。

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そんな状態であったが、53号棟以外の棟でも大なり小なり被害を受けているし、給水塔だけではなく、団地全体で電気やガスも使用できない状態であったので、自治会の役員が中心になって、まず「復旧特別委員会」を発足させ、この委員会に管理組合の役割を与えて団地全体の復興を始めた。これは三月末のことで、その半月後に53号棟は再建組合を設立し、建替えの本格的な準備に取り掛かっている。団地型マンションの場合、一棟だけが旧状と異なった形状の建物に、一棟だけの判断で勝手に建替えることは区分所有法上できない。さらに、神陵台東住宅の場合は、建設時に建築基準法第八六条による「一団地申請」によって建築確認を受けているために、一棟を建替えるにも団地全体の変更申請が必要となる。この両方とも、実はたいへんな作業を必要とする。しかし、幸いなことに後者の問題に関しては神戸市が柔軟な対応を示し、団地内に反対がなければ53号棟の建替えは軽微な変更とみなして、「一団地申請」の変更手続きはしなくてもよいとしたのである。





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